市内にすみながら
しらない場所はいっぱいある
河川敷を北へはしって
はじめての所をはしった
小高いところに
古墳群をみつけた
草でおおわれているが
六つの古墳がある
集落にはいってはしると
家と家の隙間から
煙突のようなものがみえた
jitennshaをおりてひきかえすと
なにやらふしぎなものがたっていた
コンクリートの基礎のうえにまるい筒がつながっている
コンクリートには
「皇紀二千六百年 村民總動員工事」とかいてある
皇紀二千六百年は昭和15年、1940だ
角をまがった民家のまえにいた
初老の婦人にたずねると
すぐ、目と鼻のさきという場所だが
なにをたずねているのかふしぎそうな顔をして
そのたっているもののことをしらないようすだった
あんがいそんなものなのかもしれない
そこですこし誰かとおらないかとおもって、まっていると
古老がとおりかかった
「あれか、あれはなポンプや」
「水をくみあげてな、あのむこうの山すそまで水を送っとったんや」
「パイプがつながっとってん」
「もう、40、50年は使うとらへんな」
しらなかった道をはしるのはたのしいもの
別世界のちいさな旅